【注目された日米金融政策決定会合】
日米金融政策決定会合を通じて、ドル/円相場が年初来高値を更新し、150円台での値固めが行われている。以下では、3月17日週の注目された日銀金融政策決定会合に焦点を当てて振り返っていく。
【日銀金融政策決定会合の決定内容】
3月18~19日の日銀金融政策決定会合では、以下の重要な決定が下された。
- イールドカーブ・コントロール(YCC)の廃止。
- 無担保コールレートの誘導目標をマイナス0.1%からプラス0~0.1%程度へ引き上げ。
- ETF・J-REITの購入停止という引き締め方向の決定。
これにより、日銀は17年ぶりの利上げを実施した。しかし、長期国債の買い入れ規模は現状維持され、マイナス金利解除の際に予想された長期国債の買い入れ規模の変更は行われなかった。これらの決定は、日銀の複雑な胸中を示唆しており、為替市場に大きな影響を与えた。
【金利上昇と円安への期待】
多くの市場参加者が今回の決定を債券市場に優しいものと受け止め、その結果として円相場における「事実で売り」が助長された。一方で、利上げ決定後も長期金利は低下し、日本経済は金利上昇と円安の二者択一を迫られる状況にある。日本政府のデフレ脱却宣言に注目が集まる中、実質賃金の改善が円安を抑制する要因となる可能性がある。
【アメリカの金融政策の動向】
一方、FOMCは現状維持を決定し、2024年中に利下げを3回行う見通しを示した。これにより、FRBの利下げ開始時期が後ろ倒しになり、円相場に期待された円高の押し目が浅くなったとの印象がある。アメリカの経済指標の強さにより、FRBの利下げ開始時期が後ろ倒しになる可能性があるが、その影響は今後の円相場の動向に影響を与える可能性がある。
【円相場の展望と議論の焦点】
2024年の円相場は、「長い円安」局面における息継ぎの時間帯とされている。日米金融政策の事前情報発信により、需給構造が円売りを支持していることが示唆されており、金利差だけでなく需給を考慮することが重要である。今後の円相場の展望には、FRBの利下げのタイミングや日本政府のデフレ脱却宣言の行方が影響を与える可能性がある。