2. 熊本県知事の期待と現実 熊本県知事である木村敬氏は、第3工場の誘致を強く求めていましたが、TSMCからの回答はゼロに等しいものでした。第1工場の建設が進む中、地元経済への大きな影響が期待されていますが、渋滞問題やインフラ不足が足かせとなり、第3工場の熊本への誘致は厳しい状況にあります。
3. 渋滞とインフラの課題 熊本では、TSMCの工場建設が進むにつれて、道路の渋滞が深刻化しており、工場周辺の通勤時間が1時間以上かかることもあります。この状況が第2工場の完成後にさらに悪化することが懸念され、第3工場の建設を進める条件として問題視されています。
4. TSMCが求める人材要件 TSMCが第3工場に求めるのは、単に労働力ではなく、高度な技術を持つ大学研究者レベルの人材です。特に先端的な半導体製造ラインを支えるための専門知識が必要であり、これが立地選定の大きなポイントとなっています。
5. 第3工場候補地として浮上する3つの都市 TSMCが候補として検討している立地は以下の3都市です。
- 茨城県つくば市
つくば市は、筑波大学をはじめとする研究機関が集まっており、東京大学や東京工業大学などの研究者もアクセスしやすい点が評価されています。また、工業用地も比較的豊富です。
- 京都府京都市
京都市は京都大学をはじめとする多数のノーベル賞受賞研究者を輩出した都市であり、産学連携が活発です。電子関連企業も多く、研究開発の基盤が整っています。
- 名古屋市
名古屋市は、名古屋大学の優秀な研究者とともに、自動車産業の中心地でもあります。トヨタ自動車との連携が期待される地域として注目されています。
6. 熊本が第3工場の候補から外れる理由 熊本県のインフラ問題や人材の質に対する懸念から、TSMCは第3工場の立地を熊本以外に検討しています。また、TSMCが目指すのは、先端技術の支援を得られる理系の名門大学に近い都市での建設です。
7. 日本国内の半導体誘致競争 日本国内では、米中のハイテク戦争を背景に、半導体製造が国家戦略の一環として重視されています。TSMCの第3工場は、各国が競争する中で、技術的優位性を保ち続けるために必要不可欠な施設となります。日本各都市の間で、誘致競争がますます激化することが予想されます。