2025年末の政府予算編成に向けて、医療サービスの対価である診療報酬の改定議論が本格化しています。 物価高騰が医療機関の経営を圧迫し、現場からは「土俵際」との声も。 一方で、報酬引き上げは保険料や窓口負担の増加につながる可能性もあり、国民の理解が不可欠です。
🏥 医療現場の“理想と現実”
東京都世田谷区の世田谷北部病院では、入院患者の食事委託費が約20%増加。 コメなどの食品価格高騰が直撃し、「栄養バランスを守りたいが、現実とのギャップがある」と院長は語ります。
さらに…
- 救急車による急患受け入れ:年間約3,000件
- 手術・内視鏡検査に注力
- 医療用品・器具の価格高騰
- 報酬加算分が“打ち消される”構造的課題
医療機関は、利益を出すことが難しい構造の中で、地域医療を支え続けています。
📉 改定のタイミングと課題
診療報酬は原則2年に1度の改定。 物価高に即応できない制度設計が、現場の柔軟性を奪っています。 報酬引き上げが実現すれば、医療機関の経営改善につながる一方で、患者負担の増加という副作用も。
🧭 制度の“硬直性”と生活者の“実感”
診療報酬は、医療の質と持続性を左右する“制度の心臓部”。 しかし、物価高という生活者の実感に対して、制度が追いついていないのが現状です。 医療機関の持続可能性と、生活者の負担軽減──この二律背反のバランスをどう取るかが、今後の議論の鍵となります。