ニュース PR

【大人になってからの発達障害】「片付けが苦手だった」から始まった気づき──診断と仲間との学びが人生を変えた

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今、発達障害と診断されるのは子どもだけではありません。 家庭を持ち、仕事をして、社会の中で生きてきた“大人”が、ある日ふと「これはただの性格じゃないかもしれない」と気づく──そんなケースが増えています。

今回取材された加藤さん(仮名・51歳)は、40代で発達障害の診断を受けました。 きっかけは、職場での「書類整理」の業務命令。 他の人の机はすっきりしているのに、自分だけが“山積み”。 「これはただごとではない」と感じた瞬間が、人生の転機になったのです。

診断結果はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の併存。 こだわりが強く、人の気持ちを読み取るのが苦手。 衝動的な言動や片付けの困難さ──それらは、加藤さんが「ずっと自分の欠点だと思っていたこと」でした。

家族との関係にも影響がありました。 子どもに「読書感想文を書け」と強く言ってしまったこと。 「そこまで言う?」と妻が感じた言葉の背景には、発達障害の特性がありました。 本人に悪意はなくても、相手の気持ちを汲み取るのが難しい──それが、家族のすれ違いを生んでいたのです。

診断後、加藤さんは愛知県精神医療センターのデイケアに通い、同じ悩みを持つ仲間たちと学び合う時間を持ちました。 「牛乳パックが片付けられない」「収納がノープラン」──そんな声に、自分だけじゃないと感じる安心。 心理士の「それが発見できただけでも一歩前進」という言葉が、心に響きます。

 

これは「診断=終わり」ではなく、「気づき=始まり」。 発達障害は“治す”ものではなく、“付き合っていく”もの。 そのためには、本人の理解と、周囲の受け止め方が何より大切です。

加藤さんの妻が語ったように、「障害です」と公表しても、すぐに理解や支援が得られるわけではありません。 むしろ、偏見や誤解にさらされることもある。 だからこそ、社会全体が「どう接するか」を学び直す必要があるのです。