🕰️プロローグ:炎の中で
2005年、ある地方都市の幹線道路。 三菱製の軽自動車が走行中、突然エンジンルームから煙が立ち上がった。 数秒後、炎が車体を包み込む。 運転していた女性は、奇跡的に脱出できた。 だが、車は全焼。原因は――オイル漏れだった。
この事故は、三菱自動車が“知っていたはずの不具合”によって起きた。
🧑🔧第1章:3G83型エンジンの警告
問題のエンジンは「3G83型」。 1990年代から軽自動車に広く搭載されていた。 社内では、オイルシールの劣化による漏れが複数報告されていた。 技術者は警告した。
「このままでは、オイルが排気系に触れて発火する可能性がある」 だが、品質保証部は「整備不良」として処理。 リコールには至らなかった。
🔥第2章:火災の連鎖
2004〜2005年にかけて、全国で同様の火災事故が複数発生。
- 走行中に突然の発火
- 駐車中に煙が立ち上がる
- エンジン停止後に燃え上がる
三菱は、個別対応にとどまり、原因の全体解明を行わなかった。 「使用環境によるもの」 「整備履歴が不明」 そうした言い訳が、報告書に並んだ。
⚖️第3章:責任の所在
国土交通省は、三菱に対して再調査を求めた。 だが、三菱は「設計上の問題はない」と主張。 リコールは見送られた。
後に、社内技術者が内部告発。 「火災の原因は、設計上の耐久性不足にある」 「社内では、対策案が握り潰された」
この告発は、2000年から続く“隠蔽体質”の延長線上にあった。
📉第4章:信頼の崩壊
- 販売台数は再び急落
- ダイムラー・クライスラーとの提携は完全に終了
- 社員の士気は低下
- 消費者からの問い合わせは殺到
三菱は、火災事故の責任を明確にすることなく、 “個別対応”という名の沈黙を続けた。
🧠エピローグ:原因を解明しないという選択
この事件は、企業が「原因を調べないこと」を選んだ結果だった。 調査すれば、設計ミスが露呈する。 調査しなければ、責任は曖昧になる。 三菱は、後者を選んだ。
だが、炎はすべてを焼き尽くす。 信頼も、ブランドも、そして命までも。