中国で公開された映画『731』が、SNS上で酷評の嵐に見舞われています。 731部隊という極めて重い歴史的題材を扱いながら、荒唐無稽な演出や史実無視の描写が観客の怒りを呼び、「愛国心を食い物にしている」との批判まで噴出。 これは、国家主導の表現設計と生活者の感情設計が乖離した構造的事件です。
🧭 映画の構造:史実と演出の“ねじれ”
- 題材:旧日本軍731部隊(細菌兵器開発・人体実験)
- 内容:捕虜の脱走劇+凍傷・感染実験などの残虐描写
- 問題点:
- おいらん道中
- 鉢巻き+ふんどしの部隊関係者
- 女性幹部兵士の登場
- → 史実との乖離が“喜劇化”と受け取られ、敬意の欠如と批判される
これは「歴史の再現」ではなく、「感情の空洞化」を生んだ演出設計です。
⚖️ 制度の背景:政権主導のプロパガンダ構造
- 習近平政権:今年を「抗日戦勝80周年」と位置付け
- 映画制作:黒竜江省の共産党委員会宣伝部が協力
- 官製メディア:環球時報が絶賛 → 「国や言語を超えた共感を呼ぶ」
- → 初日興収:約70億円(3億4000万元)
しかし、観客の感情設計は制度の意図通りには動かなかった。
📉 観客の反応:共感の拒絶と“感情の反転”
- 豆瓣レビュー:「爆笑もの」「並外れた駄作」「厳粛な題材を喜劇にした」
- → 「愛国心を食い物にしている」との批判も
- → 国慶節連休の鑑賞予定者も「評判が悪すぎて迷っている」とコメント
これは「プロパガンダ疲労」と「感情設計の反転」が起きた構造です。
💬歴史表現は“記録”ではなく“共感の設計”であるべき
この映画は、「歴史を伝える」ではなく、「感情を操作する」ことに偏った結果、共感の空洞化と拒絶反応を生んだといえます。
- 歴史表現は“記録”であると同時に、“共感の設計”
- プロパガンダは“理念の伝達”であると同時に、“感情の誘導”
- → 制度が“感情設計”を誤ると、生活者は“拒絶”という形で応答する
つまり、歴史表現は“操作”ではなく“共感の構築”であるべきなのです。
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