ある医師がSNSで語った、認知症の女性とのやりとりが話題になっています。
「あの時は本当にお世話になりました」 そう語った女性は、重度の認知症で、普段は時間も場所もわからない状態。 しかし、彼女が語った“あの時”とは、数年前に医師自身が彼女の配偶者を看取った瞬間だった──。
医師はこう振り返ります。
「家族の看取りの瞬間は、脳の奥底に残る大切な記憶なんだと、思い知らされた。」
🧠 記憶は“感情”とともに残る
認知症は記憶の障害であると同時に、“感情の記憶”が残る病でもある。 家族の死という強い感情体験は、脳の深層に刻まれ、言葉として突然現れることがある。 このエピソードは、医療者と患者の関係が、一瞬のケアを超えて“人生の記憶”に残ることを示しています。
🩺 医療者にとっての“ひとり”と、患者にとっての“ひとり”
SNSではこんな声も。
「われわれ医師からみれば患者様は大勢の中の一人なのですが、患者様からみれば医師というものは大事な一人なのかもしれません。」
この言葉は、医療制度の中で“効率”や“数”が重視されがちな今、 “ひとりの患者”に向き合うことの意味を問い直す視点を与えてくれます。
これは「制度の中の人間性」が浮かび上がる瞬間。 認知症という病を通して、“記憶とは何か”“ケアとは何か”を問い直す物語でもあります。
