「日本が80兆円をアメリカに投資する」──このニュース、聞いた瞬間に違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。 しかもその合意内容を読み解くと、“投資”というより“公的金融支援”に近い構造であり、焦げ付きリスクは日本国民が背負う可能性があるという指摘も。

🧾合意の概要
- 日付:2025年9月4日
- 署名者:赤沢大臣(日本)/ラトニック商務長官(米国)
- 総額:5500億ドル(約80兆円)
- 期間:トランプ大統領の任期終了(2029年1月19日)まで
- 目的:関税引き下げ(自動車・相互関税15%)の見返り
⚠️不平等とされるポイント
項目 | 内容 | 問題点 |
---|---|---|
投資先の決定 | 米国の「投資委員会」→大統領が選定 | 日本側は選べない |
資金拠出 | 大統領決定から45日以内に日本が指定口座へ | 実質“ATM扱い” |
拒否の自由 | 一応「裁量あり」と記載 | 拒否すれば関税引き上げの可能性 |
「誠実に履行すれば関税は上げない」=裏を返せば「拒否すれば上げる」という“圧力構造”
🧠これは“投資”ではなく“援助”?
本来、対外投資とは民間企業がリスクを取って行うもの。 しかし今回の合意は、日本政府が米国の選んだ案件に公的資金を拠出する枠組み。 しかも、焦げ付きリスクは日本国民が負う可能性があるという構造。 これは「経済政策」ではなく「外交的譲歩」なのかもしれません。
“ATM扱い”の日本?国際協力銀行が背負う焦げ付きリスクと経済安保のジレンマ
「対米投資80兆円合意」の中身が明らかになるにつれ、“不平等条約”ではないかという声が高まっています。 その中心にあるのが、日本の政府系金融機関・国際協力銀行(JBIC)による出資・融資・融資保証という仕組み。 でもその構造、よく見ると“決めるのは米国、リスクは日本”という、かなり偏ったものなんです。

🏦金融支援の仕組み:SPVとJBICの関係
- トランプ大統領が選んだプロジェクトごとにSPV(特別目的事業体)を設立
- JBICがそのSPVに対して → 出資(資本参加) → 融資(資金貸付) → 融資保証(民間銀行の融資に対する保証)を実施
つまり、プロジェクトが失敗すれば、JBIC=日本国民の資金が焦げ付く可能性がある
💰利益配分の構造
状況 | 日米の利益配分 |
---|---|
融資返済前 | 50:50 |
融資返済後 | 日本10%:米国90% |
出資比率が10%だから利益も10%?──算定根拠は不明で、説明責任が問われる構造
🧠経済安保の名のもとに
- 対象分野:半導体、医薬品、重要鉱物、造船、AI、量子コンピューティングなど
- 立地は米国でも、日本の経済安全保障に資するなら出資する価値があるという理屈
でもそれは、“成果が出れば”の話。失敗したら、国民負担になるリスクも直視すべき
この合意は、経済安保という名のもとに、日本が米国のプロジェクトに資金を供給する構造。 しかも、選定権は米国、リスクは日本、利益は偏るという三重苦。 郵貯や年金の原資が使われる以上、これは生活者の問題でもある。 石破政権は、この80兆円の覚書に“最悪の事態”を想定した覚悟を持って署名したのでしょうか──それが今、問われています。

アラスカLNGは“本命”か?
「関税より投資」──石破総理のこの言葉が先行する中、アラスカLNGプロジェクトが“本命”として浮上しています。 JERAが「関心表明」を出したことで、日本側も前向きな姿勢を示した形ですが、その背景には、日米合意による“公的支援”の圧力構造が見え隠れしています。
🛢️アラスカLNGとは?
- 開発主体:グレンファーム社
- 規模:1000億ドル(約15兆円)
- 特徴:1300kmのパイプライン建設が必要な超大型インフラ案件
- 日本側:JERAが「関心表明」=法的拘束力はないが、前向きな姿勢
これまで慎重だった日本が“関心”を示したのは、公的支援の枠組みが背中を押したからと見る向きが強い
🧠拒否権なき構造とは?
- 投資案件は米国の投資委員会→大統領が決定
- 日本側は資金を出すだけで選定権なし
- 拒否すれば関税引き上げの可能性あり
つまり、“拒否権なし”で外堀を埋められる構造が、アラスカLNGにも適用される可能性が高い
🚗自動車関税と“急ぎすぎた合意”
- 対米投資80兆円の背景には、自動車関税15%への引き下げ交渉があった
- 合意は急ぎでまとめられ、内容確認の文書すら未整備
- 「関税のメリット vs 投資のリスク」のバランス検証は国民に示されていない
石破政権は「成果」として胸を張るが、その“ツケ”はまだ見えていない
🧠エネルギー政策と外交交渉は“生活者の未来”に直結する
アラスカLNGが本命となるなら、15兆円規模の公的資金が動く可能性がある。 しかも、選定権なし・拒否権なし・利益配分は偏る──そんな構造の中で、国民負担リスクが現実味を帯びてきています。 「経済安保」の名のもとに進むこの枠組み、生活者の視点からの検証と説明責任が、今こそ必要です。