2025年8月29日、政府は太陽光パネルの製造業者にリサイクルを義務付ける制度の導入を断念。 環境省・経産省は法案提出を見送る方針を示し、環境団体や専門家からは再エネ拡大への逆風との懸念が上がっています。
🔍背景と課題
1. リサイクルコストの高さ
処理方法 | 1枚あたりの費用 | 2000枚処理時の総額 |
---|---|---|
リサイクル | 約3000〜4000円 | 約600〜800万円 |
埋め立て | 約2000円 | 約400万円 |
- リサイクルは埋め立てより高コスト
- 処理枚数が増えるほど、費用差が拡大
2. 費用負担の不明確さ
- 自動車・家電は所有者負担が原則
- 太陽光パネルだけ製造者負担とする案に、内閣法制局が「合理性に欠ける」と指摘
- 海外製品や倒産企業のパネルでは、責任の所在が不明確

🧠専門家・団体の見解
神山智美教授(富山大学・環境行政法)
「メーカーが製品の使用後まで責任を持つことで、設計や素材選定が変わる。リサイクルに資する商品開発が進む」
環境NGO共同声明(抜粋)
「使用済みパネルの放置は地域トラブルの原因。リサイクル義務化の遅れは再エネ導入拡大の阻害要因」
🏗️今後の対応と検討事項
- 来年度予算で技術開発費を盛り込み、コストダウンを図る方針
- リサイクル技術の高度化・自動化による処理効率の向上が課題
- 所有者・施工業者・自治体・メーカーの費用分担モデルの再設計が必要
🌍制度設計の教訓:ライフサイクル視点の欠如
- フロン・アスベスト・リチウムイオンなど、導入時の利便性が優先され、廃棄時の負担が後回しに
- 太陽光パネルも同様に、ライフサイクル全体を見渡した制度設計が求められる
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