🧾【事案の概要】鈴鹿市の「1円単位の現金確認」対応
- 鈴鹿市では、生活保護申請者に対し、窓口で財布の中身（硬貨含む）を箱に出して1円単位で確認する運用を少なくとも5年以上継続
- 通帳や身分証とともに、その場で現金を提示させる方式
- 市側は「手持金が生活費基準を超えていないか、正確に把握する必要がある」と説明
⚖️【制度の背景】生活保護申請時の「手持金」確認とは？
生活保護制度では、申請者が持っている資産や収入を把握し、最低限度の生活を維持するために必要な支援額を算定します。
🔍厚労省の運用指針
- 「手持金」とは、申請時点で所持している現金・預貯金など
- 生活費の5割を超える手持金がある場合、初回支給額から差し引くことが可能
- ただし、財布の中身まで物理的に確認する規定はない
厚労省は「申請者の自己申告を基本とし、必要に応じて通帳などで確認する」としています。
🏢【他自治体との比較】運用はどう違う？
| 自治体 | 手持金確認方法 | コメント |
|---|---|---|
| 鈴鹿市 | 財布の中身を箱に出させて1円単位で確認 | 「正確な把握が必要」 |
| 津市・四日市市 | 自己申告＋通帳確認 | 「申請者の尊厳に配慮」 |
| 名古屋市 | 自己申告＋必要に応じて通帳提示 | 「物理的確認は原則行わない」 |
→ 鈴鹿市の対応は例外的に厳格であり、他自治体では「申請者の心理的負担」を考慮した運用が主流です。
🧠【専門家の見解】人権・制度運用の観点から
- 申請者の尊厳を損なう可能性：「現金を箱に出す行為は屈辱的」「申請をためらわせる」
- 制度の目的との乖離：「最低限度の生活を保障する制度であり、過度な資産調査は萎縮効果を生む」
- 実務上の懸念：「1円単位の確認は職員の負担も大きく、実効性に疑問」
生活困窮者支援に詳しい弁護士は「制度の信頼性を損なう対応」と指摘しています。
🧭【法的根拠と限界】
- 生活保護法では、資産・収入の申告義務はあるが、財布の中身の提示義務は明記されていない
- 行政手続法では「申請者の負担軽減」「適正な手続き」が求められる
- プライバシー権や人格権の観点からも、過度な確認は違法性を問われる可能性あり
🧠【制度の本質】生活保護は「権利」である
- 生活保護は憲法25条に基づく生存権の保障
- 申請者は「権利として申請する」のであり、施しを受ける立場ではない
- 行政は「申請者の尊厳を守りながら、適正な支給判断を行う責任」がある
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