🧭「成果主義より年功序列」へ回帰？
― Z世代の“安定志向”は保守化か、それとも合理化か
2025年度の新入社員調査で、ついに「年功序列志向」が「成果主義志向」を逆転した。36年続いた調査で初の出来事だ。 この結果を「意識の保守化」と捉えるのは簡単だが、果たしてそれだけだろうか。
📊 調査結果のポイント
- 年功序列を望む新入社員：56.3％（過去最高）
- 終身雇用を望む：69.4％
- 「同じ会社に長く勤めたい」：51.8％
- 就職先選びの重視点：①福利厚生 ②業種 ③給与水準
かつては「やりがい」や「職務内容」が重視されたが、今や「働きやすさ」「待遇」が選択基準の主流になっている。
🧠 Z世代の“合理的保守”とは？
調査を担当した丸山夏子氏は、若手の価値観をこう読み解く。
1. 生活設計リスクへの敏感さ
震災・パンデミックを経験した世代は、「予測不能な未来」に備えようとする。 → 安定した雇用制度への期待が高まる。
2. 待遇面重視へのシフト
「職務内容」より「福利厚生」「給与水準」を重視。 → 成果主義よりも、着実に昇給する年功的処遇を好む傾向。
3. 挑戦より“長く続けられる安心”
60歳以降も働く前提でキャリアを設計。 → 評価変動の激しい成果主義はリスクと捉えられやすい。
🏢 企業が取り組むべき3つの戦略
① 多様化への適応
成果主義と年功序列の“ハイブリッド評価制度”の再設計が急務。
② エンゲージメント向上
安定志向でも「成長実感」は求められている。 → 安心と挑戦の両立がカギ。
③ コミュニケーションの再設計
柔軟な働き方と、価値観に寄り添う対話の仕組みが必要。
✍️保守化ではなく“合理化”という視点
「年功序列への回帰」は、単なる懐古主義ではない。 むしろ、Z世代が“合理的に”安定を選んでいるという見方もできる。 企業はこの変化を「若手の甘え」と切り捨てるのではなく、 “未来への不安”に寄り添いながら、持続可能な人材戦略を描くべきだ。
