「水が止まらないんです、すぐ来てください」 そう電話した先は、“水道屋本舗”を名乗るアクアライン。 24時間365日対応の緊急修理サービス。 だが、訪問したスタッフは、蛇口交換だけでは終わらなかった。 「配管も古いですね。全部替えた方がいいですよ」 提示された見積もりは、40万円。 そして――クーリング・オフはできないと言われた。
🧾違反の構造:緊急修理から“訪問販売”へ
アクアラインの違反行為は、以下のような構造を持っていた:
- 緊急修理(蛇口交換など)は特商法の対象外
- しかし、追加作業(配管交換・トイレ一式交換など)を提案し契約 → 訪問販売に該当
- にもかかわらず、クーリング・オフの権利を否定する虚偽説明
- 「材料は発注済み」「うちにはクーリング・オフはない」などの不実告知
さらに、トイレ修理では:
- 「部品は製造終了しているので、トイレ一式交換しかない」と虚偽説明
- 実際には部品は存在し、修理可能だった
📉行政処分と違反件数
- 消費者庁による業務停止命令(2021年8月〜2022年5月の9か月間)
- 対象:訪問販売に関する勧誘・申込受付・契約締結業務
- 違反事例:3件の重大違反+707件の相談
- 処分対象者:代表取締役・相談室長にも業務停止命令
第三者委員会の報告では、売上の約7割が追加作業による訪問販売契約だったことも判明。
🏢組織的背景:歩合給と営業圧力
- サービススタッフの給与は能力給(歩合制)
- 月間売上が180万円を超えると、超過分の20%が歩合として支給
- そのため、スタッフは追加作業の提案に注力
- 研修でも「能力給の獲得方法」が強調されていた
つまり、給与制度そのものが“過剰提案”を誘発する構造だった。
✒️あとがき:暮らしの安心を装った“水の罠”
アクアラインが売っていたのは、蛇口の修理ではない。 それは、“すぐ来てくれる安心”という幻想だった。 だが、クーリング・オフの否定、虚偽の説明、そして営業ノルマ。 そのすべてが、暮らしの水回りに潜む“契約の罠”を浮き彫りにした。