1975年、東京・千代田区。 「健康と富を、あなたに」――。 磁気治療器を掲げて登場したジャパンライフは、 40年以上にわたり“オーナー商法”という名の幻想を売り続けた。
🧲オーナー商法とは何か?
ジャパンライフは、磁気ネックレスや磁気ベストなどの健康器具を顧客に販売し、 「当社がレンタル運用することで年6%の配当が得られます」と勧誘した。
しかし実態は:
- 顧客に商品を渡さず「預託」扱い
- 実際には十分な数の磁気治療器を保有していない
- 新規顧客の出資金で既存顧客に配当を支払う自転車操業
つまり、実体のないレンタル事業を装った投資詐欺だった。
📉粉飾の手口:利益なき利益
ジャパンライフは、以下のような粉飾を行っていたとされる:
- 預託金を「売上」として計上
- 実際には赤字でも黒字に見せかける
- 顧客数や契約数を水増しして信用を演出
この“見せかけの健全経営”が、さらなる勧誘を可能にした。
👥被害の規模と逮捕劇
- 被害者数:約6,000人以上
- 被害総額:約2,100億円
- 2020年9月:元会長・山口隆祥ら14人が詐欺容疑で逮捕
特に高齢者が多く、老後資金を失った人々の声は深刻だった。
🏛️政治との癒着:「桜を見る会」招待状の影
山口元会長は、2015年の「桜を見る会」に安倍首相枠で招待されたとされ、 その招待状を勧誘チラシに掲載していた。
過去には:
- 国会で集中審議(1985年)
- 政治団体「健康産業政治連盟」を通じて政治献金
- 自民党議員との密接な関係が報じられる
この事件は、政治と詐欺商法の境界線の曖昧さを浮き彫りにした。
✒️あとがき:信頼を装う技術
ジャパンライフが売っていたのは、磁気治療器ではない。 それは、「健康になる」「儲かる」「国も認めている」という幻想のパッケージだった。 粉飾された数字、政治の後ろ盾、そして巧妙な勧誘。 そのすべてが、信頼という名の磁気を帯びていた。