2024年3月22日。 小林製薬は、紅麹を含む自社製品によって健康被害が発生している可能性を公表した。 だが、最初の症例報告は1月15日。 公表までの2ヶ月間、何が起きていたのか――。
🍷紅麹と“想定外の成分”
- 対象製品:「紅麹コレステヘルプ」などの機能性表示食品
- 原料に含まれていたのは、プベルル酸という腎毒性を持つ化合物
- 原因は、紅麹菌と青カビの共培養によって生成された未知の化合物Y・Zの可能性も
この成分は、腎障害やファンコニー症候群などの症状を引き起こすとされ、 2024年6月時点で、入院289名・死亡5名(厚労省報告)が確認されている。
🧭初動対応の遅滞:2ヶ月の空白
- 1月15日:腎疾患の症例が社内に報告
- 3月21日:消費者庁へ初めて連絡
- 3月22日:大阪市保健所→厚労省→記者会見
この間、製品の自主回収も告知も行われず、 「対応が遅すぎる」と厚労省・メディア・専門家から厳しく批判された。
🧪制度と企業の“盲点”
- 紅麹は、コレステロール低下効果を持つモナコリンK(ロバスタチン類似物質)を含む
- 海外では腎障害リスクが指摘され、販売禁止や注意喚起が行われていた(例:スイス・EU・台湾)
- 日本では、機能性表示食品制度のもと、医薬品に準じる成分が“食品”として流通していた
この制度の隙間が、安全性検証の不十分さと企業の対応遅延を許した。
🏢企業対応と再発防止策
- 3月以降:自主回収、入社式中止、CM自粛
- 4月:取締役会主導で事実検証委員会を設置
- 6月:被害者数の再集計と厚労省への報告強化
しかし、死亡者数の更新が止まっていたことが厚労省の再照会で判明し、 「情報隠蔽ではないか」との疑念も生じた。
✒️あとがき:沈黙が生んだ“二次被害”
紅麹は、健康を願う人々の希望だった。 だが、企業の沈黙と制度の盲点が、希望を“リスク”に変えた。
「起きてはならないことが起きた」のではない。 起きたときに、どう向き合うかが問われたのだ。