🕰️プロローグ:白い土の正体
2005年春、三重県四日市市。 ある建設現場で、地元住民が不審な“白い土”を目にした。 見た目は滑らかで、セメントのよう。 だが、雨が降ると泡立ち、異臭を放つ。
「これは、ただの埋め立て材じゃない」 環境団体の調査で、驚くべき事実が明らかになる。 それは、石原産業が製造した“フェロシルト”だった。
🧑🔬第1章:フェロシルトとは何か?
フェロシルトは、石原産業が製造した“土壌改良材”とされていた。 主成分は、酸化鉄・酸化チタン・石膏など。 だが、実態は――化学製品の製造過程で出た“有害廃棄物”だった。
- 六価クロム
- フッ素
- ホウ素
- 塩素化合物
これらの有害物質が、フェロシルトに含まれていた。 にもかかわらず、石原産業は「安全な改良材」として販売していた。
🚛第2章:全国に広がる“偽装埋設”
フェロシルトは、三重県を中心に、愛知・岐阜・滋賀・大阪など 全国の建設現場や農地に埋め立てられていた。
- 投棄量:約12万トン以上
- 埋設箇所:100か所以上
- 使用目的:造成、農地改良、道路工事など
行政の許可を得ていたケースも多く、 “合法的に見える不法投棄”が横行していた。
⚖️第3章:告発と捜査
2005年6月、三重県が石原産業に対し、廃棄物処理法違反で告発。 同年10月、三重県警と三重県が合同で強制捜査を実施。 2006年、石原産業の幹部らが逮捕・起訴された。
被告 | 判決 |
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石原産業元副社長 | 懲役2年・執行猶予3年 |
元環境部長 | 懲役1年6ヶ月・執行猶予3年 |
法人としての石原産業 | 罰金3,000万円(当時の最高額) |
企業は「安全性は確認していた」と主張したが、 社内文書には「有害物質を隠す」指示が記されていた。
🌱第4章:住民の怒りと再生
- 地元住民は、健康被害や農地汚染を懸念
- 自治体は、撤去費用を石原産業に請求
- 環境省は、フェロシルトを“廃棄物”と正式認定
撤去作業は数年に及び、 地域では「環境教育」や「土壌再生プロジェクト」が始まった。
🧠エピローグ:環境偽装という構造
この事件は、企業が“環境に優しい”という言葉を盾に、 有害物質を“商品”として流通させた構造的犯罪だった。
- なぜ行政は見抜けなかったのか?
- なぜ企業は安全性を偽ったのか?
- なぜ制度は“自己申告”に依存していたのか?
埋められたのは、廃棄物だけではない。 信頼、制度、そして未来への希望だった。