「30億円の預金証書が、政界を揺るがす爆弾になるとは、誰が予想しただろうか。」
1965年4月、三菱銀行長原支店で起きた前代未聞の金融詐欺事件。 その背後には、自民党総裁選挙をめぐる資金工作、政界フィクサー、そして“黒い霧”の始まりがあった。
🏛️第1章:総裁選とカネ──池田 vs 佐藤の暗闘
1964年、自民党総裁選挙。池田勇人と佐藤栄作が激突。 史上最もカネが飛び交った選挙と呼ばれ、100億円以上が動いたと言われる。
- 池田派の資金集めを担ったのは官房長官・黒金泰美
- 黒金の協力者:吹原弘宣(吹原産業社長)と森脇将光(森脇文庫代表)
- 吹原は政財界を渡り歩くフィクサー、森脇は“闇金融王”
🏦第2章:三菱銀行を巻き込んだ“預金詐欺”
1964年10月、吹原が三菱銀行長原支店に現れ、こう告げる:
「自民党本部の資金30億円を預けたい。見返りに60億円の融資が決まっている」
黒金の実印が押された念書と印鑑証明書を提示し、通知預金証書(10億円+20億円)を詐取。 森脇に渡した大和銀行の30億円小切手を三菱銀行に預金させ、証書で現金化を図るが失敗。
👮第3章:逮捕と裁判──誰が主犯だったのか?
- 1965年4月:吹原逮捕、翌月に森脇も逮捕
- 森脇は「黒金念書」を特捜部に提出(実印は本物)
- 検察は「共謀による偽造」と主張するが、控訴審・最高裁は吹原単独犯と認定
🕵️第4章:児玉誉士夫の登場──フィクサーの証言
政界の黒幕・児玉誉士夫が証人として法廷に立ち、こう証言:
「森脇と田中彰治から証言を変えるよう脅された」
この証言は、事件の政治的背景をさらに濃くした。
⚖️第5章:判決とその後──黒い霧は晴れたのか?
被告 | 判決 | 補足 |
---|---|---|
吹原弘宣 | 懲役9年 | 実刑確定 |
森脇将光 | 懲役5年+罰金3.5億円 | 病気で執行停止→恩赦 |
森脇文庫 | 罰金4.5億円 | 法人として処罰 |
黒金泰美はその後、政界での影響力を失い、1976年に政界引退。
🧭まとめ:吹原産業事件が残したもの
- 金融機関を巻き込んだ政界汚職の構造
- 実印・預金証書・フィクサーが交錯する“昭和の闇”
- 黒い霧事件の発端として、政界の浄化を促す契機に
✍️次回予告|「黒い霧事件」シリーズ第2弾:田中彰治事件と政界の崩壊
この事件をきっかけに、政界の“黒い霧”はどこまで広がったのか。 次回は、田中彰治事件を中心に、政界の腐敗構造に迫ります。