第1章:静かな献金
2004年、東京・赤坂。 西松建設の幹部は、封筒をそっと差し出した。 「これは未来産業研究会からのご支援です」 その団体は、実態のない“仮面”だった。 だが、政治家は受け取った。 そして、公共工事の入札は静かに動き始める──。
第2章:ダミー団体の仕掛け
西松建設は、2つの政治団体を使って献金を行っていた。 「新政治問題研究会」「未来産業研究会」──その実態は、西松建設のOBが代表を務める“ダミー団体”。 幹部社員が寄付し、会社が賞与で穴埋めする。 表向きは合法、だが実態は企業献金の偽装だった。
第3章:検察の動き
2008年、東京地検特捜部が西松建設を家宅捜索。 翌年、小沢一郎民主党代表の秘書・大久保隆規が逮捕される。 罪状は、政治資金収支報告書への虚偽記載。 西松建設からの献金を、ダミー団体名義で記載していたのだ。
だが、捜査は奇妙なバランスを保っていた。 自民党側にも献金は流れていたが、立件はされなかった。 「自民党には波及しないと思う」──政府高官の発言が、検察の中立性に疑問を投げかけた。
第4章:裁判とその後
裁判では、西松建設元社長・國澤幹雄に執行猶予付きの有罪判決。 大久保秘書も、ダミー団体の実態を認識していたとされ、有罪が確定した。 西松建設は、旧経営陣に約6億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を起こし、勝訴する。
🧠問いかけ:政治と企業の距離
- なぜ企業は政治家に献金するのか?
- ダミー団体は“合法の仮面”なのか?
- 検察は本当に中立だったのか?