🕰️前回までのあらすじ
バブルの狂騒の中、総合商社イトマンは銀行・裏社会・地上げ屋と手を組み、巨額の資金を動かしていた。 その中心にいたのは、住友銀行出身の社長・河村良彦、地上げ屋の伊藤寿永光、そして謎の実業家・許永中。 次に彼らが目をつけたのは――「絵画」だった。
🧑🎨登場人物
名前 | 役割 | 特徴 |
---|---|---|
河村良彦 | イトマン社長 | 銀行から送り込まれた“実務家” |
伊藤寿永光 | 地上げ屋→常務 | 裏社会とつながる実行役 |
許永中 | 実業家 | 韓国系、絵画取引の黒幕 |
某鑑定士 | 美術品の鑑定人 | 鑑定書を“都合よく”書き換える |
🖼️第1章:ロートレックの罠
1990年初頭、イトマンは突然「美術品収集」に熱を上げ始める。 最初に買ったのは、ロートレックのコレクション。 だがその価格は、なんと市場価格の90倍。
「これは投資だ。資産価値がある」 河村はそう言った。 だが実際には、絵画は許永中の関連会社から買われていた。 つまり――イトマンの金が、許の懐に流れていたのだ。
🔍第2章:鑑定書の魔法
絵画の価値を決めるのは、鑑定書。 許は、鑑定士に“特別な依頼”をする。
「この絵、1億円って書いてくれ。実際は500万でもいい」 鑑定士は首を縦に振る。 その紙一枚で、イトマンは高額で絵を買い、裏金を流す。
絵画取引の総額は680億円。 うち557億円が許永中の関連会社との取引だった。
🧾第3章:絵画の行方
後に裁判で明らかになった絵画の一部は――
- 倉庫に眠っていた
- 行方不明になっていた
- 偽物だった
「資産」ではなく「隠し金庫」だったのだ。 絵画は、資金洗浄の“道具”に過ぎなかった。
🧠第4章:なぜ誰も止めなかったのか?
- 銀行は「融資先の自由な投資」として黙認
- 社内では「社長の指示」として疑問を持てず
- メディアは「美術品収集」として好意的に報道
誰も、「これはおかしい」と言えなかった。 バブルの熱狂が、常識を溶かしていた。
🧩エピローグ:絵画は語らない
今も、当時の絵画の一部は所在不明だ。 それは、バブルの亡霊のように、倉庫の奥で眠っているかもしれない。 だが、語ることはない。 語るべきは、私たちの側だ。
✏️次回予告:
『住銀の沈黙──銀行はなぜ止めなかったのか?』 企業と銀行の関係を掘り下げ、なぜ“痰壺”が生まれたのかを追います。