🕰️プロローグ:札幌の午後、甘い香りの裏で
2007年8月、札幌。 観光客でにぎわう大通公園の近くに、石屋製菓の本社があった。 「白い恋人」──北海道土産の代名詞。 その甘くて軽やかなラングドシャは、誰もが安心して口にする“信頼の味”だった。
だが、その信頼は、ある一通の内部告発によって崩れ去る。
🧑💼第1章:賞味期限の“延命処置”
石屋製菓では、賞味期限が迫った製品に対して、こうした処理が行われていた。
- ラベルを貼り直す
- 出荷日をずらす
- 一部は“再包装”して新しい商品として販売
社内では「品質には問題ない」「冷蔵保存だから大丈夫」といった声が飛び交っていた。 だが、それは“消費者の安心”を犠牲にした企業都合の論理だった。
📦第2章:告発と崩壊
2007年8月14日、内部告発を受けた北海道新聞が報道。 「賞味期限を改ざんしていた」との事実が明るみに出る。 石屋製菓は即座に記者会見を開き、社長・石水勲が謝罪。
その後の調査で、最大2ヶ月以上の改ざんが常態化していたことが判明。 出荷停止、商品回収、百貨店との取引停止── “白い恋人”は、信頼を失った。
🏛️第3章:老舗のプライドと崩れたブランド
石屋製菓は、創業1947年の老舗。 「北海道の顔」として、観光業とも深く結びついていた。 だが、賞味期限という“見えない約束”を破ったことで、 そのブランドは一夜にして崩壊した。
社長は引責辞任。 社員たちは「なぜ止められなかったのか」と自問した。
🧠エピローグ:甘さの裏にある倫理
この事件は、単なるラベルの貼り直しではない。 それは、“食べる人の信頼”を裏切る行為だった。
- なぜ「品質に問題ない」という言葉が免罪符になったのか?
- なぜ社内で誰も声を上げられなかったのか?
- なぜ“北海道の誇り”が、消費者の安心より優先されたのか?