皆さん、こんにちは、いのりです!
7月25日の日経平均株価は370円安の4万1456円で引けましたね。先週末の7月20日に行われた参議院選挙、結果は皆さんもご存知の通りです。自民党内では混乱が続いているようですが、私はこの流れで、いずれ自民党総裁選が行われる方向に向かうのではないかと考えています。
そして、その総裁選に向けて、市場では「景気刺激的な勢力が主役に躍り出るかどうかの期待感」が継続するでしょう。これまでは「7月高値」だと見ていたのですが、この期待感が続くことで、秋まで株価の堅調が続く可能性がかなり高まってきたのではないかと感じています。
私の相場イメージ図も、高値時期を後ろ倒しし、自民党総裁選での景気刺激への期待によって、早くとも9月初め、うまくいけば10月まで堅調である可能性が出てきています!
関税は「アク抜け」?それでも続く自動車関連の波乱
関税交渉の着地は、悪い話ではありませんでしたね。ただし、これで株価がどんどん上がっていくかというと、そこまでではないでしょう。
7月29日にはIMF(国際通貨基金)が世界経済見通しを公表します。今回の日米合意が反映されていれば、日本の経済見通しは引き上げられる可能性があります。過去のデータを見ると、IMFが日本の経済見通しを引き上げたり引き下げたりすると、その後9週間程度は日本株が買われたり売られたりする傾向が見られます。仮に引き上げられなかったとしても、「日米交渉がまだ反映されていない」と判断される可能性が高いので、悪い評価にはならないのではないかと見ています。
これまでアメリカのドナルド・トランプ大統領が何か言って市場を驚かせると、株価はすぐに下落するものの、関税などの施策が実際に実施されると「アク抜け」して底を打つ傾向がありました。だから今回も、15%という関税率が(事前通告より下がったから)良かったというよりも、アク抜けしたこと自体が好感されたのでしょう。
実際、関税率が下がったことで年間2.3兆円程度の関税を免除してもらった計算になりますが、その代わりに81兆円もの投資をする、というのが割に合うのかどうかといった印象も受けますね。
関税引き上げが俎上に上ってから、日経平均は7000円以上も下げたので、その**「倍返し」を計算すると、4万5000円台が目標水準**となるかもしれません!
自動車関連については、アメリカでの販売台数には約10年程度のサイクルがあり、これから2~3年で販売台数が1割以上増加すると考えられています。そんな中で、英国のように「枠的な規制」が設けられなかったのは良かった点です。全体の販売量が増えたときに、英国は台数を増やせないからシェアが下がってしまいますが、日本勢は韓国やEUとアメリカの合意次第ではありますが、シェアアップの可能性がかなり高いでしょう。
また、日本の自動車株のTOPIX(東証株価指数)と比べた相対パフォーマンスは、2年に一度のモーターショーの後、大きく下落する傾向があります。特に開催後1年程度は低迷し、悪い話はこの辺りで噴き出すことが多いんです。2024年も不正認証の問題など、悪い話が多かったですよね。しかし、**今年はジャパンモビリティショーが10月末から開催されます!**そこに向けては、技術的にも会社運営でも良い話が数多く出てくることが予想されるため、株価パフォーマンスも良くなるでしょう。
ただし、7月24日には自動車株の相対パフォーマンスが反落しています。これは、株高の主因が関税ではなく、**政治(政局)**にあることを示唆しているのではないでしょうか。
この半年で、アメリカ向け自動車の輸出単価はすでに24.5%も割り引かれています。関税の引き上げ分はアメリカ人が負担するのではなく、輸出している各国が負担していることが示されているんです。これは、良い話ではありませんよね。来年の春闘や、あるいは今年の年度末のボーナスなども、かなり落ち込んでしまう懸念もあるということです。実際、日本は2018年から2019年の米中貿易戦争では景気後退に陥ってしまいました。決して安心はできない状況です。

株価上昇の背景は「財政拡張」への期待!
日本では政局が続いており、石破茂首相は退陣しないことを強調していますが、結局は退陣せざるを得なくなる可能性も出てきていますね。
今回の参議院選挙で、野党は食品の減税など景気刺激的な政策を主張しました。そして、自民党が敗れた結果、日経平均は石破氏が昨年9月に就任して以来、完全には抜けきらなかった水平の赤波線を突破したんです!
過去の自民党総裁交代のタイミングを見比べると、菅義偉氏はアベノミクスを継承したため、日本株はアメリカ株を半年程度アウトパフォームし、それまで抜けなかった高値をポンと上に抜けていきました。一方、岸田文雄氏が総裁になって以降は半年間、アメリカ株よりもアンダーパフォームし、就任前の高値をずっと抜けなかったんです。
今回は右側の縦点線で、石破氏の就任以来、やはり日本株はアンダーパフォームしていました。つまり、アベノミクスを継承するような政策を行うと株高になり、緊縮政策を行うと株価が上がらないということが示されています。
今回の株式の上昇は、緊縮政策が終わり、野党が主張するような財政政策が織り込まれるのではないか、あるいはその先には石破氏が退任するのではないか、という期待が入っているのでしょう。

「金融政策ウィーク」に波乱はなし?
さて、7月28日の週は中央銀行ウィークです。日本の長期金利とドル円レートは基本的に連動しており、金利が上がると円高になる関係にあります。まれに1~2週間、逆連動になることがありますが、それは月の特定の時期限定のイベントであり、機関投資家のアセットアロケーションの変更の影響でしょう。足元で円安にもかかわらず長期金利が上昇する場面があったとしても、「悪い金利上昇」ではなさそうです。
関税のことが決着したため、日銀が再び利上げができるようになったとの見方もあるかもしれませんが、それは少し早すぎるでしょう。7月25日に発表された東京都区部のコア物価は、先行する輸入物価に追随して下がってきてしまっています。
日本銀行はこれまで、「物価の第一の力である輸入物価のような供給制約は年の後半には落ちてきて、第二の力である内需の好循環に向かう」と指摘していましたが、確かに物価は落ちてきています。 ですが、内需の好循環に向かっているかというと、東京都区部のサービス物価は少し頭をもたげてきているものの、全国のサービス物価はまだ水準が低いですし、先行する企業向けサービス価格指数も頭打ちの感じ。内需の好循環になるには心もとない状況です。
こう考えると、しばらく日銀は様子を見るでしょう。内閣府も「景気が悪くなり始めていると、機械的には判断できる」と言い出しており、このタイミングで利上げをするムードを出すことは難しいでしょうね。2018年のように景気が後退しそうなことも考えると、日銀は利上げ停止を継続するだろうと見ています。
アメリカの雇用動向にも引き続き注目!
アメリカの雇用統計を見ても、民間部門は弱い状態が継続するでしょう。アメリカのラストベルト、自動車産業の集積地であるデトロイトなどを含む州では、いつもこの時期は悪くなる傾向があるんです。9月1日からアメリカでは自動車のモデルイヤーが変わるので、ラインの組み換えを今の時期に行うためです。
今回は関税が4月に引き上げられたため、9月からの新モデルイヤーでは部品の組み換えが多いはずで、ラインの変更も大規模になりそうです。それにもかかわらず一時帰休で休みをもらい、失業保険をもらう人があまり多くないのは不思議ですね。
各国の関税問題がおおむね決着するこの8月1日以降に、このような設計変更をしようという動きがバタバタと決まる可能性があり、例年以上にこの8月は自動車産業の雇用動向に注意したいと考えています。
まとめ:政局が株高を後押し!9月までは堅調期待!
以上のことから、FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)はハト派方向、日銀も金利引き上げは据え置き方向で、スタンスは変わらないだろうと考えるため、大きな波乱はないでしょう。
7月28日の自民党の両院議員懇談会がどうなるのか、あるいは8月1日から始まる臨時国会がどうなっていくのか。やはり「財政拡張路線に進むのだ」「自民党総裁選挙に進むのだ」といった形になれば、株高が継続する可能性があります。そしてIMFが日本の経済見通しを引き上げるのが間に合えば、9月いっぱいまでは堅調が期待できるのではないでしょうか。
市場を動かすのは、やはり「期待」です。今後の政局と経済指標をしっかりチェックして、賢く投資判断をしていきましょうね!
注記: この記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。