皆さん、こんにちは、いのりです!
7月18日の日経平均株価は、一時4万円台を回復する場面がありましたね! でも、残念ながら終値では82円安の3万9819円で引けました。いよいよ7月20日(日)の参議院選挙。選挙後の注目は、やはり「景気刺激的な政権になるか、ならないか」に尽きると思います。
前回の記事でもお話ししたように、AI(人工知能)など好材料は引き続きあるものの、日本の景気については、ちょっと暗雲が立ち込めつつあるんです…。

「トランプ関税」のしわ寄せが日本企業に!?
世界の景気の先行きを左右するアメリカでは、輸入物価が2カ月連続で前年比マイナスとなりました。関税引き上げで徴収額が大きく上昇しているにもかかわらず、価格が逆に下がっているんです。これは「最適関税理論」にあるように、大国であるアメリカへの供給量を他の国で販売しきれないため、輸出国が販売量の減少を抑えるために価格を下げているからだと考えられます。
2018年から2019年にかけての鉄鋼アルミ制裁関税の際も同様の傾向が見られましたし、1920年代にはアメリカの関税でイギリスでもこうした動きがあったんですよ。
アメリカの物価に対する懸念が小さい裏側で、価格を下げている輸出国側(日本を含む)は大変な状況にあります。実際、2018年11月以降、日本は景気後退期に入ってしまいました。7月17日に発表された貿易統計を見ても、日本の自動車のアメリカ向け輸出単価は、1月には1台448万円だったものが、6月には110万円も値下げして輸出されているんです!これは事実上、日本側が関税分を負担しているということですよね。
そろそろ日本の景気・物価は「正念場」!
内閣府は7月7日に景気の基調判断を「機械的には悪化」に変えましたが、そろそろ物価も問題になりつつあるのではないでしょうか。消費者物価指数(CPI)のコア物価は天井をつけつつありますが、これは輸入物価に約9カ月遅れて連動しています。
すでに輸入物価は下落基調をたどっているので、7月25日発表の東京都区部CPIは要注目です!物価全体が落ちてしまうのか、それとも輸入品の価格が安くなったおかげで内需が好循環に向かうのか、まさに正念場に差し掛かっていると見ています。
植田和男・日銀総裁は、「基調的な物価上昇率はほぼサービス物価である」と述べているため、輸入物価の悪影響がなくなった後、消費者物価がサービスを中心に上がってくるのかどうかが注目点です。
いずれにしても、景気の基調判断が悪化している以上、景気刺激策を講じるべきであり、内需の好循環が働くように物価対策をすべきタイミングだと考えています。

参院選後、これから起こりうるシナリオを徹底予測!
さて、いよいよ7月20日の参議院選挙がどうなるか、全く予断を許さない状況ですが、選挙後に想定される政局とマーケットへの影響を展望してみたいと思います。
シナリオ1:与党勝利 or 石破首相続投ケース もし与党が勝利するか、敗北しても石破茂首相が退陣しないケースでは、参議院で過半数でも衆議院は少数与党のため、野党との連携が不可欠になります。ここでの連携先は、立憲民主党、特に野田佳彦党首を中心としたグループとなる可能性が高いでしょう。 なぜなら、石破氏と野田氏は、超党派の社会保障改革会議を立ち上げています。野田氏が首相だった頃、安倍晋三元自民党総裁と国会で党首討論を行い、消費税を2回引き上げることを約束し、解散した歴史があります。つまり、当時の野田首相(当時)の解散の狙いは「財政再建」であり、まさに財政タカ派なんです。そういうことを考えると、石破首相が継続するのであれば、他の野党による大幅な財政出動などは抑え、自身も財政再建に一定程度貢献する方向になるでしょう。
シナリオ2:アベノミクス復活!?財政積極派が総裁になるケース もし与党が敗北し、石破氏が退陣するケースでは、自民党総裁選挙が行われます。ここで、財政積極派が総裁になった場合、衆議院選挙を行うか行わないか、勝つか負けるかという選択肢があります。 もし解散総選挙で与党が50%を獲得した場合、首班指名選挙を経て、高市早苗氏や小林鷹之氏といった保守派が首相となるでしょう。その場合は参政党と組むことになるかもしれません。 このケースでは、アベノミクスを継続し、金融緩和も要求するでしょうし、保守派であるため日米関係も良好で、中国には強い態度で臨むでしょう。ドナルド・トランプ大統領との関係も良好になり、様々な案件が進捗する可能性があります。金融緩和の主張も相まって、株価が大きく上昇することが期待されます!
シナリオ3:財政破綻シナリオは「レアケース」 一方で、自民党総裁選挙で緊縮派の候補(岸田文雄氏や林芳正氏など)が当選したり、小泉進次郎氏が首相になったりするケースも考えられます。これらの候補は元官僚中心の支持であるため、財政破綻するような大盤振る舞いは考えにくいでしょう。 また、衆議院選挙で与党が負ける、あるいは解散しないとなると、首班指名選挙となります。ここで自公中心的な候補となる場合、高市早苗氏、小林鷹之氏、茂木敏充氏の可能性がありますが、茂木氏の場合は解散しないかもしれません。この場合、国民民主党や日本維新の会がサポートすることになるでしょう。 首班指名選挙で「非自公政権」が誕生するパターンも考えられますが、野田氏が首相になった場合は先ほどと同じ理由で財政破綻とは考えられません。唯一、野田氏以外で野党が結集するというケースは、参議院選挙で立憲民主党が大敗し、野田氏が外れるが、野党全体としては勝ち、衆議院では勝つ、という非常にレアケースでしかないため、財政破綻のケースはほとんど考えられないと見ています。
補足:野党連携の政策の違いにも注目!
国民民主党と日本維新の会のどちらと組むかで、政策がかなり違ってきます。維新はじめ野党各党は食品の消費減税を提唱しているところが多いですが、国民民主党はそれを提唱していません。
したがって、国民民主党の場合は、103万円の壁(現在は123万円の壁)の緩和に動く方向でしょう。そうなると飲食宿泊業のパートタイマーの労働力不足が解消されるため、飲食宿泊業が好調になる可能性があります。 一方、食品の消費減税となると、食品メーカーは潤うでしょうが、飲食宿泊業にとっては悪いことになるため、これらのセクターへの影響が逆になるかもしれません。
まとめ:選挙後は「リバウンド」期待!でもその後は慎重に?

総合的に考えると、選挙後には景気刺激策が出てくる可能性は高く、株高の可能性も十分にあると見ています。アメリカもFOMCで大きくハト派に転じる可能性もありますし、トランプ氏の相互関税の実施でもアク抜けの効果があるでしょう。
だから8月に入ればリバウンドが見られると予想しています。ただし、その先はまた秋頃から景気が悪くなるかもしれないという懸念もあるため、短期的なリバウンドになる可能性も視野に入れて、慎重に見ていきましょう。
いよいよ明日が参議院選挙の投開票日ですね。皆さんも今後の動向に注目して、賢く投資判断をしていきましょう!
注記: この記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。