皆さん、こんにちは、いのりです!
最近、世界的に株式市場が回復傾向にあって、私たち投資家にとっては嬉しいニュースが続いていますね。日本株市場は、目立った材料が少なかったり、関税摩擦の懸念がくすぶっていたりする中でも、好調な米国株に引っ張られる形で、一時4万円台を回復する場面もありました。でも、その後はちょっと上値が重たい展開が続いているのが現状です。
そんな日本株市場にも、昨年からじわじわと注目度が高まっている大きな投資テーマがあるのをご存知ですか? それが、まさに**「親子上場の廃止」**なんです!
今年の年明けあたりから、マーケットニュースでこの言葉を頻繁に目にするようになったと感じている方も多いのではないでしょうか。実は、日本株市場における親子上場企業の多さは昔から問題視されていて、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化が進むにつれて、その数は年々減少傾向にあるんですよ。

「親子上場」って、結局何が悪いの?
東京証券取引所も、今年の2月には「親子上場等に関する投資者の目線」という意見を公表するなど、この「親子上場廃止」の流れを積極的に推進しています。
でも、「親子上場」ってよく聞くけど、具体的に何が問題なの?と思う方もいるかもしれませんね。様々な問題点が指摘されていますが、最も多く聞かれる割にイメージしにくいのが**「利益相反」**という点です。
「利益相反」とは、その言葉の通り、親会社と子会社の間で利益がぶつかり合ってしまう関係性のこと。多くの場合、子会社が親会社のために経営資源を使ってしまい、それが子会社の利益を損ねてしまうケースが問題視されます。会社側と株主との間でも利益が一致しないこともありますね。
具体例で見る「親子上場廃止」が相次ぐワケ
この「利益相反」のイメージを掴むには、私たち投資家や、最近活発に活動しているアクティビスト(物言う株主)の視点で事例を見ていくと分かりやすいかもしれません。
例えば、昨年話題になった**日産自動車(7201)と日産車体(7222)**の親子上場の関係です。旧村上ファンド系のストラテジックキャピタルが批判した事例として有名ですよね。
日産車体は、日産自動車が株式の50%を保有し、売上高の98%が日産自動車向けという、ほぼ完全な生産子会社です。そんな中で、日産車体は湘南工場の閉鎖を決定しました。これに対し、ストラテジックキャピタル側は、「工場の閉鎖は業績低迷に苦しむ日産本体の構造改革の一環であり、本来であれば少数株主と日産車体が独自に決めるべきことだ」と批判したんです。
つまり、子会社として上場して投資家から資金を集めているのに、親会社である日産本体の意向で経営方針が決められてしまい、子会社の株主の意見が反映されていない、という点が問題視されたわけです。子会社としては、日産向け以外の事業を拡大するなど、様々な選択肢を考えられるはずなのに、そうした意見が通りにくいことが問題、ということですね。
非上場化の流れが加速中!
このように、親会社の業績向上のために子会社が割を食ってしまう状況や、その正当性を論理的に説明できない状況が、「親子上場が悪である」とされる最大の原因なんです。
そして、この流れが近年さらに強化されたことで、今年だけでも**NTT(9432)によるNTTデータグループ(9613)のTOB(株式公開買い付け)、イオン(8267)によるイオンモールの株式交換やイオンディライト(9787)**のTOBなど、子会社の非上場化が活発に進んでいます。
「親子上場廃止」は投資チャンスになる!?
では、私たち投資家にとって、この「親子上場廃止」は利益を生み出すチャンスになるのでしょうか?
実際に、親子上場を廃止した子会社の株価が、上場廃止の日から遡ってどのくらい上昇したかを調べてみると、驚くべき結果が出ているんです!
上場廃止まで、平均でどれくらい株価が上がった?
どの期間を見ても、非常に良好なパフォーマンスを生み出していることが分かりますよね。特に直近5年に至っては、平均で30%ものリターンになっていて、これは主にTOB(株式公開買い付け)による**プレミアム(上乗せ価格)**が株価を押し上げていることが原因だと考えられます。
「でも、これって一部の銘柄が急騰しただけじゃないの?」と思うかもしれません。そこで、同様の銘柄群について、**「勝率」(上場廃止までの期間に株価が上昇した銘柄の割合)**も確認してみると…
上場廃止まで、株価が上昇した銘柄の割合(勝率)
100%とまではいかないものの、直近5年では8割以上の銘柄が上昇しているんです!これは、親子上場の廃止がいかに良質な投資機会として存在しているかを示しています。いつになるかは分からなくても、最近の流れを考えると**「とりあえず上場子会社を保有しておく」**というだけでも、立派なひとつの投資戦術になりそうですよね!

どんな銘柄が狙い目?「アクティビストの視点」で考えてみよう!
とはいえ、現在も200を超える上場子会社が存在しており、そのすべてを保有するのは現実的ではありません。そこで、どういった企業が親子上場の廃止に動きやすいのか、私と一緒に考えてみましょう!
一般的に「PBRが1倍割れの企業が候補になる」と言われることもありますが、実はこれにはあまり根拠がないんです。親会社からすれば、ガバナンス上の問題を解消するために子会社を非上場化するのが目的なので、子会社のPBRが高いか低いかは関係ないんです。実際、過去に上場を廃止した子会社のPBRを見ると、1倍以上の企業の方が多いんですよ!
そこで重要になるのが、先ほども登場した**「アクティビストの視点」**です。もし自分がアクティビストになったとしたら、どんな親子上場企業に改善を提案するだろう?と考えてみましょう。
- 親会社が資金力とガバナンス意識の高い大企業であること: こういう親会社なら、投資家から利益相反を指摘されて強い圧力をかけられた場合、子会社買収が実現される可能性が高いと考えられます。
- 子会社が小型株であること: アクティビスト側からすれば、少額の元手で一定の発言力(キャピタル)を握ることができる小型株が理想です。
- 親子で同業種、または関連事業を行っていること: こういう場合だと、経営の非効率性や利益相反を指摘しやすいと考えられます。
これらの条件を満たす親子上場銘柄は、投資テーマに乏しい日本株市場において、中長期の視点で妙味の大きい戦術となる可能性があります。
皆さんも、この「親子上場廃止」というテーマ、ぜひ今後の投資戦略に取り入れてみてくださいね!