1. 金利への関心の薄さとその背景
多くの人が「株価」や「為替レート」の日々の動きには関心を持っている一方で、「金利」にはあまり関心がない傾向があります。これは、日本における預貯金の利率が長期間にわたり低水準にとどまっていたためです。例えば、定期預金1年物の利率は、1995年7月に年1%を割り込み、2023年4月には年0.013%まで低下しました。このような低金利環境では、金利に興味を持つこと自体が難しいといえます。
2. 今後の金利動向と影響を与える統計情報
しかし、今後は金利が上昇し始めたことで、状況が変わるかもしれません。短期金利や長期金利が低水準であるものの、金利がさらに上昇するためには、しっかりとした経済の基盤が必要です。6日に発表された「毎月勤労統計調査(6月分)」の速報値では、実質賃金がプラスに転じ、個人消費の活発化と景気の好転が期待されます。
3. 株式相場の4つのサイクルと金利の関係
株式相場には「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」の4つのサイクルがあります。金融相場は金融緩和による金余りを背景に株価が上昇し、業績相場では企業業績の改善により株式が買われます。しかし、景気過熱により金融引き締めが行われると逆金融相場が始まり、最終的に逆業績相場では企業業績が悪化し、株価も下落します。
4. 金利変動と注目業種の変化
金利の変動は、景気や株価に影響を与えるだけでなく、注目される業種も変わってきます。金融相場では景気敏感株や不動産株が注目され、業績相場では割安好業績銘柄が注目されます。一方、逆金融相場では無借金経営の企業が評価され、逆業績相場ではディフェンシブセクターに注目が集まります。
5. 金利と為替レートの関係
金利は為替市場にも影響を及ぼします。特に米ドル/円においては、日米の金利差が円安や円高を引き起こし、輸出企業や輸入企業の株価に影響を与えます。金利の変動が株価や為替レートにどう影響するかを理解することで、投資環境を把握しやすくなります。
6. 金利感覚を持つことの重要性
金利の変動が再び注目される今、金利感覚を持つことが重要です。金利感覚を養うことで、怪しい金融商品に騙されるリスクを減らし、健全な資産運用を行うための基礎力を身につけることができます。たとえば、現在の金利水準を理解していれば、過剰に高い利率を提示する詐欺商品に対して警戒心を持つことができるでしょう。