1. 日経平均株価の急反発とその背景
2024年8月5日、日経平均株価は年初来安値の3万1156円まで値下がりしましたが、その後急反発しました。この株価の乱高下の背景には、ドル円が急速に円高ドル安に動いたことが挙げられます。ドル円は7月11日の161円台から8月5日には141円台まで、およそ20円の円高が進行しました。その後、148円台まで戻し、現在は147円あたりで推移しています。日経平均株価の動きは、ほぼドル円の動きに連動していると考えられます。
2. 円高が輸出企業に与える影響
日本銀行が公表した全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の2024年度の想定為替レートは1ドル=144円台、1ユーロ=155円台です。ドル円が150円台であれば輸出企業にとっては好ましい状況ですが、140円台前半では業績にマイナス影響が出る可能性が高いです。日銀が追加の利上げを行い、2025年にはさらなる利上げを検討する状況下では、円高が進行しやすく、これが株価の急落に繋がる可能性があります。
3. アメリカ経済の減速懸念と外国人投資家の動向
アメリカでは経済の先行きに減速懸念が高まりつつあり、この影響も日本経済と企業業績にマイナスの影響を与えるでしょう。このような状況下で、外国人投資家の売り越しが続いているのも無理はありません。日経平均株価はレンジを一つ下に切り下げており、今後も為替動向次第でモミ合いが続く可能性があります。
4. 円高トレンドへの転換と企業選びの重要性
ドル円が10円以上も円高に動いたことを考えると、短期的にも中長期的にも円安トレンドから円高トレンドに転換した可能性が考えられます。トレンドが転換すれば、数カ月はその状態が続く可能性が高いため、円高恩恵の銘柄や為替動向が業績に与える影響が小さい銘柄を選ぶことが重要です。
5.今後の株式市場の見通し
来週(19~23日)は、日経平均が5日続伸で短期間に3000円以上の急騰を見せたことから、高値警戒感が高まり、利益確定売りが予想されます。決算発表が終了し、手がかり材料が乏しい中で、日米両国の金融政策に注目が集まりそうです。23日には衆参財務金融委員会の閉会中審査で植田和男・日本銀行総裁の発言が焦点となるでしょう。
日経平均は3万7000円台での値固めが想定され、来週のレンジは3万7200~3万8200円と予測されています。株価の下値不安が薄らいでおり、輸出企業の業績への影響も限定的です。今後の展開次第では、3万8000円を軸にした往来相場が続き、その後の企業業績の堅調さが確認されれば、9月以降に4万円を目指す可能性もあるとされています。
6. 今後の重要な経済イベント
来週の経済指標やイベントとしては、19日の機械受注、21日の貿易統計、23日の衆参財務金融委員会の閉会中審査での植田和男総裁の発言が注目されます。特に、22~24日に開催されるジャクソンホール会合でのジェローム・パウエルFRB議長の基調講演が最大の焦点となります。