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日経平均株価の動向と今後の展望

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1月24日の日経平均株価は、日本銀行(以下、日銀)の利上げという大きな材料がありながらも、わずか26円安の39,931円で取引を終えました。この小幅な下げは、市場が利上げを織り込んでおり、冷静な動きを見せた結果と言えるでしょう。

1月27日以降、仮にアメリカ政府が経済政策で何らかの動きを見せたとしても、その影響は一時的なものに留まる可能性が高いと考えられます。


日経平均が強含む可能性:原油安とアメリカ金利の低下が後押し

原油価格の下落やアメリカ金利の低下を背景に、自動車関連やテクノロジー関連の銘柄への買いが広がりつつあります。この流れを受け、日経平均株価は上昇基調に入りやすい環境が整ってきているといえます。

日経平均が底を打った可能性を示唆しています。ここから、4万円を超えるコースに乗るのではないかと市場では期待が高まっています。さらには、年央(参議院選挙の頃)には上昇も視野に入れたシナリオが描かれています。


IMFの見通し:日本は「不発」でも欧州より優位

1月に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、日本に関する見通しは「不発」ともいえるものでした。報告書では、「貿易の不透明感が投資を抑制する一方で、実質所得の向上が促されるため、結果として相殺される」との見方が示されています。

一方で、ユーロ圏の見通しは厳しいものでした。アメリカによる保護主義政策がユーロ圏の貿易を停滞させるとの懸念が背景にあります。対照的に、アメリカ経済の成長見通しは0.5ポイント上方修正され、日本はユーロ圏と比較すると相対的に良好な位置づけにあると言えます。


アメリカ経済の影響と日本景気の底打ち

過去のデータによれば、日本経済が年度の下期(10月~翌年3月)以外で景気の底を打ったのは、1950年以降わずか2回しかありません。また、日本の景気はアメリカ経済に敏感に反応する特徴があります。

アメリカのクリスマス商戦が好調であれば、日本経済が10~12月期に底を打つ可能性が高く、今回もこのパターンに該当しそうです。現在のアメリカ経済は堅調であるため、日本経済の見通しも明るいと言えるでしょう。


外国人投資家の動きには慎重な見方も

ただし、IMFの見通しを受けた外国人投資家の日本株への買いがすぐに加速するとは考えにくい状況です。短期的な楽観は控えつつ、中長期的な動向に注目する必要があります。

トランプ大統領の「原油安」政策が自動車産業に与える影響

2025年1月23日、トランプ元大統領は世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)での演説で、OPECに原油価格の引き下げを求める意向を示しました。この発言を受け、原油価格は急速に下落を見せています。これにより、アメリカの長期金利も低下圧力がかかり、自動車産業にとっては追い風となる要素が整いつつあります。


原油安がもたらす日本の自動車産業へのプラス効果

原油価格の低下は、日本の自動車関連株にポジティブな影響を与える可能性があります。具体的には以下のような効果が期待されています:

  1. ガソリン価格の低下
    ガソリン価格が下がることで、燃料コストの削減を期待する消費者が車の買い替えを促進する可能性が高まります。
  2. 自動車ローン金利の低下
    原油安に伴うアメリカ長期金利の低下が、自動車ローン金利にも波及効果を及ぼし、販売促進の追い風となります。

アメリカ国内では、ゼネラル・モーターズ(GM)の株価が堅調であることがその一例として挙げられます。さらに、アメリカ自動車市場の10年サイクルを考慮すると、今後2~4年にわたり自動車生産が拡大すると予想されています。買い替え需要により、年間200万台規模の販売台数の増加が見込まれることは、日本の自動車メーカーにとっても大きな追い風となるでしょう。


日本メーカーへの恩恵

例えば、トヨタ自動車(7203)の国内生産台数は年間300万台規模とされており、この需要増加は非常に大きな影響をもたらします。特に、現地生産を進めてきたホンダ(7267)やトヨタにとっては、トランプ政権下での関税政策の影響が限定的であるため、優位性を維持できると考えられます。

一方で、トランプ大統領の政策がなければ、安価な中国製電気自動車(EV)に市場シェアを奪われる可能性も指摘されていました。その意味で、原油安政策は日本の自動車メーカーにとってプラスの作用を及ぼしていると言えるでしょう。


原油安とロシア対策:中東の動きが鍵

トランプ氏の原油安政策は、単に経済的な効果を狙ったものではなく、ロシアへの対抗策としての側面も持ちます。中東諸国、とりわけサウジアラビアは、ロシア産の低価格「闇原油」が中国やインドなどで市場を席巻している状況を嫌っています。このような背景から、原油価格の低下を通じてロシア経済に打撃を与える意図があると考えられます。

さらに、過去の事例として1979年のソ連のアフガニスタン侵攻時、サウジアラビアが原油価格を引き下げることでソ連経済を崩壊に追い込んだ歴史があります。今回も同様の手法を用いる可能性があり、これがロシアに対して停戦を促す効果を期待する動きとして注目されています。


サウジアラビアとアメリカの関係強化

トランプ氏は、中東諸国との良好な関係を築いてきました。2020年に成立した「アブラハム合意」では、バーレーンやUAE(アラブ首長国連邦)がイスラエルと国交を樹立し、サウジアラビアもイスラエルとの国交樹立に前向きな姿勢を示しています。これらの外交成果の背景には、トランプ氏の原油増産方針が交渉材料として機能していることがうかがえます。


中長期的な見通し:原油価格の再引き上げの可能性

原油安政策は一時的な戦略に過ぎないとの見方もあります。中東諸国は、シェア拡大後に4年後を目処に価格を再引き上げる可能性があり、アメリカ国内での原油増産意欲を削ぐ目的もあると指摘されています。

日本の貿易黒字進展と株高の期待感

原油価格の下落や自動車輸出の増加といった要因により、日本の貿易収支が黒字化に向かう可能性が高まっています。この動きは、日本株全体にもポジティブな影響を与えると考えられます。


貿易収支と株価の関係

日本の貿易収支を分解すると、黒字要因の多くを占めるのは自動車輸出であり、赤字要因の主要部分は鉱物性燃料の輸入です。したがって、原油価格が下がることで鉱物性燃料の赤字が縮小し、さらに自動車輸出が増加すれば、貿易収支は黒字方向へ大きく傾くことが予想されます。

特に、為替と貿易収支の動きには「Jカーブ効果」と呼ばれる現象が見られます。この効果により、タイミング的に日本の貿易収支が黒字化しやすい局面に入っていると考えられます。また、貿易収支の底打ちと日経平均株価の底打ちには高い連動性が見られることから、貿易黒字の増加が日本株の上昇を支える材料になると期待されます。


金利低下と投資対象のシフト

原油安による金利低下の傾向が、日本の金融市場に大きな影響を及ぼしています。これにより、投資家の注目は銀行株からテック株へシフトする可能性が高まっています。

金利動向の背景

  • アメリカの長期金利
    トランプ氏の当選に伴う景気期待から上昇してきたアメリカの長期金利ですが、足元ではエコノミック・サプライズ・インデックスが織り込み済みとなり、ポジション整理が進行中です。今後2カ月間でアメリカ金利はピークアウトし、低下に転じる可能性が指摘されています。
  • 日本の長期金利
    日銀が1月24日に政策金利を0.5%に引き上げたことで、一時的な材料出尽くし感が出ています。チャート上では「三空」を形成しており、金利のオーバーシュートが示唆されています。過去のパターンから、タカ派的な政策が続く場合でも、金利低下に転じる可能性が高いと見られます。

テック株への追い風

アメリカの長期金利がピークアウトすると、SOX(フィラデルフィア半導体指数)が底を打つ傾向があります。この流れを受け、AIやテクノロジー関連の投資が活発化すると予想されます。たとえば、ソフトバンクグループ(9984)が発表した78兆円規模のAI投資計画などは、テック株全体の大きな好材料といえるでしょう。

一方で、銀行株は日本の長期金利と高い連動性を持つため、金利低下が進めば一時的に物色の対象から外れる可能性がある点に留意が必要です。


春節休暇と日本株へのプラス材料

アジア市場の春節休暇は、日本株にとって追い風となる環境を提供します。多くのアジア市場が休場することで、日本株が代替的な投資先として選ばれる可能性が高いからです。

中国市場との関係性

過去のデータでは、中国市場が休場中に日本株が買われる傾向が見られました。特に、春節や国慶節期間中には、日本株への買いが集中することがありました。その後、中国市場が再開すると日本株が一時的に反落するケースもありますが、全体的なトレンドとしては日本株と中国株が連動して上昇する傾向があります。

また、中国政府が発表した家電や自動車の買い替え促進プログラムにデジタルガジェットの購入支援を加える政策も、春節前の消費拡大に寄与すると考えられます。1月27日に予定されている**中国国家統計局によるPMI(製造業購買担当者指数)**の発表が良好であれば、日本株にさらなる上昇圧力がかかる可能性があります。